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2008年6月 9日 (月)

読書録 ver.1

入院中に「新しい思春期像と精神療法」著:滝川一廣 金剛出版 を読んだ。

中井久夫や木村敏の流れを汲む児童精神科医の著者の論考集。
学術論文ではないので、読みやすい。而して、内容は濃い。
そらもう、濃い。天下一品のこってり味くらいに濃い。
 第1部では「家庭の養育力が落ちている」とか「青少年の凶悪犯罪が増えている」など、
ワイドショーで喜ばれるようなテーマを統計的な資料をもってばっさりと切っている。
その中で、現状をどのように理解するのか、どのように援助するのかを丁寧に論じていく。
私にとっては頷ける箇所が多かった。
理解はラディカル(根本的)に、関与はコンサバティブ(保存的)にという、
相反する(はずの)二重性を分離させずに抱えて、臨床をしている筆者の懐の深さを感じさせる。
思春期・青年期への対応としては、成人のそれと違い、「育てる」という観点が不可欠だが、
そういう姿勢がすべての論考から一貫して受け取られる。
1988~2000にかけての論考集でありながら、主張が一貫しており、読んでいて非常に安心できた。
治療者の一貫性・安定性が、相談者にどれほど大きな正の影響を与えるかは
臨床経験のある人なら容易に想像できるだろう。
どれも一読の価値ありなのだが、白眉は「レジデンシャルケアにおける心理治療」、これ。
入院中だったが、読みながら身震いした。
仕事の仕方としては、「学校」という子どもの生活の場に入っていくSCにも参考になるのかもしれないと妄想した。
思春期・青年期(小中高)に関わる臨床家・興味のある学生には是非一読を勧めたい。
というか買って損はない。4200円は安い。

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